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何も言わない俺の視線に耐えられなくなったのか、浅田の頬がじわじわと熱を持ち始め、赤く染まっていく。
俺は我慢できずに、彼女にそっと触れるだけのキスをした。
「ん…」
甘い声と、柔らかい唇の感触に、体が痺れる。
すぐに唇を離し、また瞳を合わせて今度は瞼に、額に、頬にゆっくりと唇を押し当てていく。
視線を合わせる毎に潤んでいく瞳に、熱を帯びた感情が込み上げてきた。
…帰したくないな。
重ねた唇を離すと、思わず心の声が漏れた。
「…浅田、今夜、真紀さんのところから帰ってきたら…」
そこまで言ってもう一度真っ直ぐに瞳の奥を見つめると、深い黒色がトロン、と甘く揺れる。
吸い込まれてしまいそうになりながら、言葉を続けようとした時、小さな声が響いた。
「…せんせ…」
「……」
…ああ、忘れてた。
俺、今、…センセイなんだった。
危なかった…。
脱力してソファに持たれかかると、急に笑いが込み上げてくる。
「せんせ、何を笑ってるんですか?」
「…内緒」
憮然とした顔で見上げる浅田に、俺は笑いながらペロリ、と舌を出した。
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