第一章 杜の学園

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   鬱蒼とした木々に囲まれた学園。  雨の中で白い壁が蒼くくすんで見えるが、校舎は結構、最近建てられたものだ。  昔は有名な名門校だったのだが、最近では、少子化の影響なのか。  生徒数は少なく、各教室、一人につき、二つずつ机が使える。  自分の机の隣が空き机なので、いろいろ物を置けるのだ。  その隣の空いた机をぼんやり見ていた明路に、春香が訊いてきた。 「由佳、何処行ったの?」  明路は顔を上げ、彼女たちを振り向いて言う。 「購買にパン買いに行ったんじゃない?」  私、見て来る、と言い置いて、教室の外に出た。
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