第一章 杜の学園

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 購買に行くため、階段を駆け下りようとして、ふと足を止める。  姿勢を正すためにあるという踊り場の大きな鏡。  それを見つめる。  異国の血が入ったかのような女がこちらを見ていた。  鏡の向こうにいる彼女から視線を逸らさず、見据えていると、 「明路ー」 と上から声がする。  振り返ると、階段上に、隣のクラスの橘美緒が立っていた。 「あんた今朝さ。  あの幽霊階段のところで、髪の長い男の人と会った?」 「えーと。  会ったっけ?  ……なんかそんな気もするけど」  もう、と美緒は、両の腰に手をやり、こちらを見下ろすと、 「相変わらずねえ」 と愚痴る。
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