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「無茶言うなよ…俺は医者じゃない」
「わかってるわよ!そんな事!不安で堪らないのよ…」
歯を食い縛り涙を流しながら、霞は立ち竦んでいた。不安な気持ちは高瀬にもわかる。
霞が自分に多少なりとも感情を寄せている事も理解していた。それでも、それはこの特殊な環境に居るからだと思えた。
立ち上がり抱きしめれば、ひと時霞は冷静になるかも知れない。けれど、それが正しい選択であるのか…高瀬には自信がなかった。
霞は視線を逸らす事なく高瀬を見続ける。ふぅっと息を吐き、高瀬は席を立つ。
華奢な身体を包む様に抱きしめた。
「落ち着け…霞」
高瀬の両肩を掴みながら、霞が胸の辺りでコクリと頷いた。しゃくりあげながら小さな声で霞が口を開く。
「ごめん…高瀬…少しだけ…このままで居て」
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