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参った…高瀬はそんな風に思った。三津谷は当分顔を出さない予定だった。
嫌いなタイプでは無い、むしろ好みだ。此れをやり遂げれば、フリーエリアでの生活も約束されている。
けれどこれから選別される人々を尻目に、そんな事を考える自分に嫌悪感すら覚えてしまう。
三津谷との関係もそうだ。三人きりで当分は過ごさなければいけないのだ。
人間関係がギクシャクする事も本意ではなかった。
困惑する高瀬に、霞の微かな香水の香りがまとわりつく。思わず背中に回した腕に力が入りそうになった時…
両肩を握る霞の両手が前に突き出され、背中の腕が離れた。
「ごめん…ありがとうね。高瀬」
「あゝ、落ち着いたか?」
「何とかね…」
口角を無理に上げて霞が微笑んだ。
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