251人が本棚に入れています
本棚に追加
「高瀬さん!待って下さい!」
背中からの声に笑いが込み上げてきた。殆ど初めて聞く男の声だった。立ち止って駈け寄る男を待つ。
傍らに駈け寄った男の顔をあらためて眺めた。精悍な顔つき、短く整った髪形。まだ二十代の半ばなのだろうか。
「珍しいな、喋れるんだ君達」
憮然とした表情を浮かべて男が口を開いた。
「極力会話をしたり、あなた方の事に干渉しない様に指示をされていますから…貴方達と同じですよ」
そう言いながらも周りを気にする素振りだった。マザーから直接なのか、それとも自分達の様にマザーから指定された誰かの指示なのか…聞いた処で教えてはくれないだろうと思った。
「そうか…君も大変だな」
一瞬だけ口元が緩むが、直ぐに又いつもの無表情に戻り男が告げた。
「我々は貴方方の行動を制限する指示は受けていません。けれど、ガードに支障をきたす行動は勘弁願いたい」
最初のコメントを投稿しよう!