政治家

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「中東も落ちたか…」 誰も居ない広い執務室で西条は独り言を呟いた。 世界が限界にある事など、政治家でなくとも理解はしていた。二千年初頭に七十億を少し下回っていた人口は九十五億人を突破した。 食糧、エネルギー、温暖化による海面上昇、大陸の砂漠化… 国家間で連携しそれらに道筋を付けられそうな技術を全て公開しあった。 企業の抵抗は凄まじいものであったが、世界の危機感はそれを上回るものだった。 世界救済に関する特許の強制提供…技術はあらゆる場所で進歩を遂げた。 海水の濾過技術は格段に進歩し、水に飢える人々は居なくなった。 農業生産も飛躍的に発展した…それでも世界を支える事が出来ない。 「マザーか…」 各国は、日本に対して基幹コンピュータ"マザー”の公開を要求した。 全国民のID化、あらゆる国家情報の集約。世界中のハッカーにも侵入を許さない最高峰のコンピュータ"マザー”日本政府も要求を拒む事はしなかった。
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