政治家

22/22
251人が本棚に入れています
本棚に追加
/376ページ
「今更、日本を責める気にはならんよ。確かにマザーの結論は正しいのだろう…」 「政治家としての無力を感じていますがね。混乱は生じていませんか?」 「そうだな、今のところはだがね。国民の移動規制が本格的に始まれば軋轢も生じるだろう」 「私も同意見です…」 「皮肉なものだな、Mr西条。マザーのお陰で犯罪者はすぐに捕まる。テロの脅威に怯える事も無くなった。それが最後にはマザーに従わされている」 西条にもその気持ちは痛い程理解出来た。 「大統領…今日私は古い友人に言われました。我々は試されているのではないか…と」 目の前に座る映像は顎に手をあて目を閉じた。 「そうか…そうかも知れない。試されている…確かにその通りだ。思考を止める程愚かな事はないな」 苦笑しながら大統領が呟く。 「良い友人をお持ちのようだ。ほんの少しだが勇気が持てた気がするよ。彼の名前は?」 「瀧上と言います。私の大切な友人ですよ」 「タキガミ…彼に感謝していると伝えてくれないか」 「ええ、喜んで」
/376ページ

最初のコメントを投稿しよう!