第二章 絶望の分岐点

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6 白が視界を占めていた。 真っ白な天井。見覚えのある天井。 ここは、病院か? 「お。やっと起きたか」 「光秀、か……」 来客用の椅子に腰かけた東上光秀は訝しげにこちらを見つめていた。 どうせ聞きたいことは分かっていたので、夕霧のほうから促してやる。 「俺、レイチーネの屋敷の庭で倒れてたってのは知ってるよな?」 「ああ」 「いやー参ったねえ。『強盗に襲われてさ、危うく殺される所だったぜ』」 「そうか。よく見逃して貰えたな」 「全くだ。運がいいったらねえぜ」 当然ながらデタラメだ。 が、本当のことを話せるわけがない。 あの黒マントは洒落にならないくらい危険な存在だ。彼の復讐に巻き込まれれば、何の『力』も持たない東上光秀がどうなるかなど分かりきっているのだから。 「しっかし珍しいこともあるな」 東上は僅かに目を細めて、 「レイチーネのことは訊かないんだな。『広く浅い』知人のためにヤクザに喧嘩売るくらいだ。『友達』のことになったら相当後先考えず暴れ狂うと思ってたんだが」 「…………、寝起きだったからな。そこまで気が回らなかったんだよ」 夕霧は一息つき、 「で、レイチーネは?」 「意識不明。肌が黒くなっている箇所があるが異常はないとか言われたが……あの異様な変色は絶対何かあるだろ。医者でも間違うことはあるだろうしな」 「……そっか……」 予想はしていた。 覚悟はしていた。 それでも心臓が不可視の手で握られたように痛むし呼吸もうまくできていなかったけど。 「おい緋色」 最初、それは様子がおかしい自分を気遣ってくれたものかと思った。 が。 「お前、何を見た? 一人で何を抱えようとしている?」
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