第二章 絶望の分岐点

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「うぜぇ。どうでもいいからさっさと始めろ、くそったれ」 「はいはい。あ、今何時?」 夕霧は腕時計を取り出し、時刻を確認する。そこには六時と示されていた。 「六時だな。一八時っつったほうがいいか?」 「へぇ。じゃあ一ヶ月後にまた会おうか。…………優勝者としてまた会えたらいいね。『敗者は罰として殺しちゃうし』」 ぱんっ!! とタイマーが起動した。 ちゃっかりと重要なことをほざく女の子を見据え、夕霧緋色は率直に思ったことを言ってみた。 「なぁ、クソガキ」 「ん~?」 「『女神遊戯』は始まったんだろ」 「だねぇ」 「それ、他の参加者知ってるわけ?」 「…………、あ!」 女の子はぴくっと身を震わせ、 「えっと、よし! とりあえず分身しとこっ。女神ちゃん頑張るぞー!!」 そう言って女の子は消えた。 女神(?)だか何だか知らないが、随分とツメが甘い気がする。 (ルールは残酷だがどことなく緩いっつーかなんつーか…………) 負けたら殺されるらしいが、そこは気にならなかった。めんどくさかった。 勝てばいい。 負ければ『友達』が死ぬのなら、自分が死ぬなんてことはどうでもいい。 ただ。 (やっぱ死にたくはねえなあ) 勝つしかない。 『何をやってでも』。 (ははっ。歪んできたなあ、オイ) いつの間にか『すべてが元通りになっていた』 病室で、夕霧緋色は乾いた笑みを浮かべていた。
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