緑色

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緑色

 その部屋には確かに何もなかった。  ただ昼と違ったのは、気配と言うものが、そこに存在していたからかもしれない。  逃げ出さないと行けない衝動は確かに起こった。  だから生き延びられた、だから今こうしていられるのだろう。  最早自由ではなくなってしまったが、それもまだましな話だ。  何故なら、友と呼べるものはもう此処には居ない。  あるのはただ、規則を守るだけの人形に過ぎないのだから。
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