緑色

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 まだ日は高い。と言っても夕方に差し掛かっていた為、夕飯の準備が必要である。 「何で女だけ料理って決まってんの?おかしくない?」  長い髪の女性は、怒りをあらわにすると”トンッ”と包丁をまな板に突き刺した。 「私はこんな所にまで来て料理なんて作りたくない」  そう言い、そのままドカリと古びたバスのベンチに座り込む。ちなみに此処は病院のロータリーだったりする。  人目が有ればおかしな光景だが、実はここは人里離れて居る為、普段車もあまり通らない場所にだ。  テントを張る場所は無く、仕方なく野営のような状態で炊き出しを作っていた。 「良いわよね、学生はこんなのでも楽しそうで」  実際、ウンザリしている者も何人かはいたが、個々で来た為に文句を言う者は誰一人いなかった。
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