緑色

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 野営(ベース)での食事が終わる頃、会話も途切れ途切れとなる。  それも当たり前の話である。いわば今日出会ったばかりの他人と食事をしているのである。  ただ、真に恐い状況と言うものは自己以外の他人によって緩和されてしまう。  それゆえの他人制度だったが、これ以外のメリットは一つも無かった。 「腹も膨れたし、もう一回行こうか。今度は全員で」  ピンクのシャツに真っ黒なジャケットを羽織った、ホストのような男は軽いノリでそう言うと。 「んじゃ、面倒なんで半分に割ろうか?」  はじめは男女織り交ぜて、男子二人女子一人と女子二人と男子一人にしようと言っていた。  しかし、これでは別な意味で安心できないと、男女を分かつように三人ずつとなった。
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