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その時何処かの長屋から聞こえた声が、嫌に気になった。
「あーあ、やっちゃったよ。知らねぇぞ」
男はあっさりと切られ、浪人が血を拭うと死んだかどうかを足で確認する。
「不気味な男よ、それにしても此処の人間は何をそんなに怯えておるのか」
そのまま、立ち去ろうとした。しかし突然、足が動かなくなると背筋を冷たい汗が伝う。
ーーーーーーまさか。
出血量からして、どう考えても動けるはずはない。そもそも先ほど足で確認した時には、生きている事は万に一つもないと思えた。
「な、何だというん……………あがあぁぁぁぁぁぁぁああ」
足元を見ると、自分の足に絡み付きながら、血を啜っている男がそこに居た。
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