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赤い霧は三日三晩、晴れる事は無かった。
四日目の晩、等々霧が晴れたかと思うと、そこには不気味に蠢く肉の球根が現れた。
青い血管が浮きあがり、脈打ちながら時折、赤い霧の残骸を噴き上げる。
赤い霧の層が、月明かりさえ真っ赤に染め上げる夜。
虚ろな瞳の町人たちは、ぞろぞろとの肉の球根を囲う様にして崇め始める。
「イギィイィィイッィィィイイィィィ」
奇声を発しながら崇めていると、球根から骨の様な茎が生え、やがてその先から肉の華が咲く。
華からは、腐った肉の匂いと、アンモニアの様な刺激臭が液体となって溢れはじめた。
人々は、それを狂乱の中肉食獣ように貪りつくした。そして、夜は明けようとしていた。
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