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レイミ──彼女はR-AMYらしい。
やや苦しい発音ながら、強引にラモーを踏襲した命名には、親近感が沸かない。
さて、僕の型式がR-AMOで始まることは憶えているかな?
忘れていても構わないが、今は思い出してもらいたい。
18年前、僕を作ったのは《パームツリー》という日系企業なんだ。
当時の人工知能業界において、技術力・販売台数、共に世界屈指の存在だった。
そのパームツリーの製品ラインアップにおいて、市販量産型のハイエンドに位置付けられていたのが【R-AM*】シリーズ。
*にはAから順にアルファベットが割り振られるが、開発コードを兼ねているので欠番もたくさんある。
最初に製品化されたのがF。
つまり【R-AMF】だった。
以降、幾つかのモデルが販売されて、僕の1つ手前【R-AMN】が大ヒットしたんだ。
ところがその頃、第3世代AIの開発に対して疑問視する声が世界中で沸き起こり、国際的な法規改定が行われるに至った。
僕の仲間(R-AMO)は、改定前に駆け込み登録された、シリーズ最終モデルのはずだ。
この法規改定には、いろいろ言われていることがあって、何が真実なのか分からない。
AIに性格や人間性を持たせることに対する是非。
それが問われたのは間違いないけれど。
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