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面接時に店長から怒られてた女性は幸枝(さちえ)さん。
要領はあまりよくなくウッカリさんな所があるが、それが初々しくて可愛いらしい。
だが完璧主義な店長はそこが気に入らないらしく、店長からの風当たりが他のセラピストの何倍もキツく、よく店長から怒られている現場を見かけた。
気が弱くおっとりしていて弄られキャラな性格が災いしたのかもしれない。
その分礼儀正しく、人の痛みがわかる優しい人だった。
私がミスをしても決して怒らず、一生懸命教えてくれた。
うちでは精油という植物から抽出した芳香性のオイルを、キャリアオイルと言う無香のオイルで希釈し、それをお客様の体に塗ってマッサージしていく。
精油の原液は濃すぎて、直接塗ると肌がダメージを負うからだ。
幸枝さんはその精油が好きで、アロマセラピストを目指したと言っていた。
私が一番好きな精油を聞いた時に、『カモミール』と答えたその顔は、とても穏やかで嬉しそうだった。
三十後半だが、小柄で可愛らしい顔をしており、体が細いのにプックリとした頬が特徴的だった。
薄いナチュラルメイクだが、長いまつげにしっかりと綺麗にマスカラをのせた横顔はどこか哀愁を帯びており
『守ってあげたい』
『優しくしてあげたい』
と無条件で思わせるものがあった。
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