燻んだ目

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野次馬達を掻き分け、休憩室の所まで向う。休憩室の扉をあけ中にあったソファーの上にケイを寝かせた。 「あの、運んで頂いてありがとうございます。」 お礼を言われたので取り敢えず頷いておく。さて、面倒事は終わったし戻るか 「あ、あの!コレ良かったら使って下さい。」 そう言って渡してきたのはペンとメモ帳 「余りいい物ではありませんがこれが有れば相手に思っている事を伝えられます。」 俺はペンとメモ帳を受け取る。ペンは白い羽が描かれた物でそれ以外変わった所はない。 『ありがとう』 メモ帳に書いてエルに見せると笑った。 一瞬だが弟の姿が重なった。そうか、コイツを無意識のうちに助けていたのは弟を重ねていたからか…… 『俺はもう戻る。もう絡まれるなよ』 俺はそう書いて休憩室のドアノブに手を掛け休憩室を後にする。
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