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はぁ……仕方ないか、マスターは選べん。溜め息を付きながらエルの前に出る。
そして、フルフェイスの兜を取り脇に抱え跪く。
「えっ!貴方は昨日のキメラさん!えっ!?僕、興奮してて、えっ?なんで」
驚き過ぎだろう…まったく、取り敢えずケイの方に目を向けると少し驚いた顔をしたが直ぐにエルの横に来る。
「エル様、落ち着いて下さい。彼も困っています」
そう言われたエルは自分の胸に手を置き軽く深呼吸すると落ち着いたのか少しキリッとした顔になった。
「取り乱して申し訳ない。僕は『エル・ルシファー』今日から君のマスターになる。よろしくね」
握手を求めてくるは良いが、手が震えている。エルの顔を見ると笑顔だが目の奥が恐怖に震えていた。
メモ帳とペンを出して『無理に握手しなくていい』と書くと小さな声で「ごめんなさい」と言って手を引っ込めた。
気まずい空気になるしエルの顔も眉が下がって泣きそうだ。
「……そうだ、君の名前を聞いてもいいかな?」
『名前はない、だからお前が決めてくれ』
そう書くとエルは泣きそうな顔から少し笑顔になった。
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