*◇*憂鬱*◇*

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「はっ!?」  目が覚めた時、頬は涙で濡れていた。また同じ夢をみちゃった……。  母さんは、私が8歳の時家を出ていった。なんの前ぶれもなく。  私はそれまで、家族仲が良くて、世界一良い家族だと思っていた。でもそれは違った……。  父さんと母さんは、仮面夫婦だったんだ……。私の前でも、仲のいい夫婦を演じていた。  いつからかは、わからない。最初はなんで母さんがいないのかすら分からず。何度も、父さんに聞いて困らせた。  父さんの困った顔をみるのが嫌で、そのうち聞くのはやめた。  皆は、こう言う。 「おまえんち、お母さんいないんだろ~」 「なんで、お母さんいないの」 「りこん! りこん!」 「うちのママがね、亜紀ちゃんは、お母さんに捨てられちゃった可哀相な子だって言ってた、だから仲良くしなさいってぇ」  心ない言葉……。小学生にはわからない。この言葉で、私はどれだけ傷ついたか。  離婚の本当の理由を知ったのは、中学生の時。  父さんが、いきなり全てを話してくれた。  母さんは、他に好きな人ができて、その人と一緒になるために出ていった。  と……。  ドラマみたいな話し。  そして、私は本当に捨てられたんだって確信したんだ。  なんとなく気付いてた。  だけど、認めたくなかった。
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