82人が本棚に入れています
本棚に追加
「はっ!?」
目が覚めた時、頬は涙で濡れていた。また同じ夢をみちゃった……。
母さんは、私が8歳の時家を出ていった。なんの前ぶれもなく。
私はそれまで、家族仲が良くて、世界一良い家族だと思っていた。でもそれは違った……。
父さんと母さんは、仮面夫婦だったんだ……。私の前でも、仲のいい夫婦を演じていた。
いつからかは、わからない。最初はなんで母さんがいないのかすら分からず。何度も、父さんに聞いて困らせた。
父さんの困った顔をみるのが嫌で、そのうち聞くのはやめた。
皆は、こう言う。
「おまえんち、お母さんいないんだろ~」
「なんで、お母さんいないの」
「りこん! りこん!」
「うちのママがね、亜紀ちゃんは、お母さんに捨てられちゃった可哀相な子だって言ってた、だから仲良くしなさいってぇ」
心ない言葉……。小学生にはわからない。この言葉で、私はどれだけ傷ついたか。
離婚の本当の理由を知ったのは、中学生の時。
父さんが、いきなり全てを話してくれた。
母さんは、他に好きな人ができて、その人と一緒になるために出ていった。
と……。
ドラマみたいな話し。
そして、私は本当に捨てられたんだって確信したんだ。
なんとなく気付いてた。
だけど、認めたくなかった。
最初のコメントを投稿しよう!