*◇*憂鬱*◇*

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 頬杖をついて目を閉じた。そして、思い出をたぐりよせる。  母さんが、私のエプロンを縫ってくれた。  一緒に、お風呂に入った。  なんかちょっと、恥ずかしかったのを覚えてる。  遠足の時の弁当には、いつも、リンゴのうさぎが入っていた。  嬉しい気持ち、楽しい気持ち、悲しい気持ち、色々交差する。  コンビニの音楽がBGMみたいで、私の瞼の裏はスクリーン。1人の世界に入っていた。お客さんが出入りするのさえ気にならない。  私は母さんがなんで出ていったのか、理由を聞いた時……とても嫌だったし、ショックだった。  そして、母さんを恨んだ時もあった。  だけど……時間ってなんだか不思議だね。  少しずつ胸の中にしまわれていく……どんな嫌な事も胸の奥に。  私がしまっているのか、時間がそれを忘れさせてくれようとしているのか、ぼやけてしまうのか、母さんの事を考えると寂しくなるけど……温かくなるんだ。  楽しかった想い出や、温かな想い出が溢れてくる。  私が想い出を、手繰りよせていると、いきなり肩をつかまれた。  ビックリして、目を開き肩を掴んだ相手を見ると。
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