*◇*憂鬱*◇*

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―――――――― 件名:はあ? 本文:かなり使いこなせるんですけど~。 明日な、おやすみ。 ――――――――  それでメールのやり取りは終わった。  携帯を閉じ枕元に置いて、私はそのまま眠りに着いた。  そしてこの日、私はよく見る夢を見た。  いつも同じ場面、同じ展開。  母さんが出てくる夢……。  最初は、家族3人で笑っている、母さんは、庭の花に水をあげていて、私と父さんは縁側で母さんを見ながらじゃれている。  日曜日の午後。  お母さんの胸に飛び込んで、抱きしめてもらう。  あたたかい。  頭をなでなでしてもらう。  落ち着く……。  でもいきなり、場面がガラリと変わるんだ。 「なにいってるんだ!!」  リビングに二人の姿と父さんの声。 「何って、もう決めたことなのよ」  母さんは何をいってるの?? 「あきは、どうするんだ、お前は母親だぞ」  父さんは母さんをジッと見ていた。 「亜紀は、貴方が育ててちょうだい」  母さん何いってるの? 私は、見てることしかできない。  足が動かない……。  すると乾いた音が部屋に響いた。父さんが母さんを叩いたんだ。 「さよなら」  そう言って母さんは頬を押さえながら、そのまま家を飛び出した。 「待って母さん、どこに行くの?? とぉさ~ん」  私が呼んでも届かない声。父さんは下をむいたまま。  私はそこに存在していないのか、私はその時どこからこの現場を見ていたのか、今では記憶が暴走して分からない。  昔の記憶……。  追いかけたのか、それすら分からない。  あれから母さんは帰ってこなかった。  あれが母さんを見た最後……。
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