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件名:はあ?
本文:かなり使いこなせるんですけど~。
明日な、おやすみ。
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それでメールのやり取りは終わった。
携帯を閉じ枕元に置いて、私はそのまま眠りに着いた。
そしてこの日、私はよく見る夢を見た。
いつも同じ場面、同じ展開。
母さんが出てくる夢……。
最初は、家族3人で笑っている、母さんは、庭の花に水をあげていて、私と父さんは縁側で母さんを見ながらじゃれている。
日曜日の午後。
お母さんの胸に飛び込んで、抱きしめてもらう。
あたたかい。
頭をなでなでしてもらう。
落ち着く……。
でもいきなり、場面がガラリと変わるんだ。
「なにいってるんだ!!」
リビングに二人の姿と父さんの声。
「何って、もう決めたことなのよ」
母さんは何をいってるの??
「あきは、どうするんだ、お前は母親だぞ」
父さんは母さんをジッと見ていた。
「亜紀は、貴方が育ててちょうだい」
母さん何いってるの? 私は、見てることしかできない。
足が動かない……。
すると乾いた音が部屋に響いた。父さんが母さんを叩いたんだ。
「さよなら」
そう言って母さんは頬を押さえながら、そのまま家を飛び出した。
「待って母さん、どこに行くの?? とぉさ~ん」
私が呼んでも届かない声。父さんは下をむいたまま。
私はそこに存在していないのか、私はその時どこからこの現場を見ていたのか、今では記憶が暴走して分からない。
昔の記憶……。
追いかけたのか、それすら分からない。
あれから母さんは帰ってこなかった。
あれが母さんを見た最後……。
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