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『亜紀はどうするんだ』
『貴方が、育ててちょうだい』
『お前は母親だぞ』
両親の言い争い、その後、父さんは母さんの頬を叩いた。
部屋に響く、バチンという音。
その後、場面が変わり。
『亜紀……ごめんな』
部屋で1人、家族写真をみて、泣いている父さんの姿が見えた。
そして、
『亜紀おいで』
と母さんが私を呼んでいる。すると、場面がガラリと変わり、目の前には母さんの姿……。
でも、歩いても歩いても近付かない。近付かないどころか、母さんは遠くなっていくばかり。
追いかけても。届かない……。
『待ってよ……待って』
走っても走っても、追いつけない。
『まっ……て』
息も切れて苦しくて、私は手を思いっきり伸ばした。
――――――――
――――
のした……」
「きのした」
「木下」
先生の声が聞こえて、私は目を覚ました。まだ体がだるくて……熱かった。
「大丈夫かぁそんなにきついか? お前うなされてたぞ病院いくか?」
先生は私の顔を覗いてくる。
いつの間にか、氷嚢がオデコにのせられていた。
私、先生の家でねてたんだぁ。
「大丈夫です。ゴホッ」
私は上半身を起こした。
「はい、これ飲んで」
先生は私にコーンスープの入ったカップを渡してくれた。
でも、あまり食欲がない……。
カップを受け取り、一応今飲める分だけ飲んでおいた。たったの3口。
「お前薬も飲まずに眠っちゃうんだもんなぁ」
そういえば飲むのを忘れていた…‥。
先生は、カップを口に運ばない私を見て、
「食欲ないのか? 薬のんでみ」
と、薬をわたしてきた。私は頷き水で流し込む。
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