*◇*波*◇* #2

6/35
前へ
/35ページ
次へ
 波の音がやけに大きく聞こえる。周りにいる人たちの声も聞こえていた。  そんな中、 「ねぇ心さん」  私の耳に入ってきた声。  彩さん……?  声のする方を見ると、10人くらいの人たちの中に、彩さんと先生の姿があった。  彩さんは、前みたいに先生にべったりだ。  私は物凄く気になったけど、そのまま雄也の後をついていく。  あっちは私たちの存在に気づいていない。  でもそれで良かったのかもしれない。  雄也と2人でいるとこ見られたら誤解されちゃう。自販機で人数分のジュースを買った。  ホットを買って、手を温める。 「さむいか?」  雄也の第一声はこれだった。 「うん? ちょっとだけ」  そう言うと、 「洋服かりるか?」  と聞いてくる雄也。 「いいよそんなに寒くないから」  断ると、 「なんかあったか?」  と聞かれた。 「なにもないよ、なんで?」 「元気ないし……」  私は、やっぱり分かりやすいのかな? 「元気元気」  と、無理矢理満面の笑みで答えていた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加