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「降りるだろ??」
そう聞いてくる。
「はい」
首を縦に降ると、
「じゃあ、行くか」
と、笑顔の先生は車から降りた。私も、降りる。
そして、砂浜に降りていくために歩いていく先生の後を、ついていった。
階段をおりる先生、私も後に続こうとすると。
「手! 木下ドジだもんな」
と、手を差し出してきた。
ドクン。
心臓が大きく跳ねる、恥ずかしかったけど。
「ドジじゃないもん」
と、先生の手をつかんだ。
ドキドキする。
きっと私の顔は、今一番紅いとおもう。優しく握ってくれる手は大きくてちょっと冷たい手、早くなる心臓、改めて好きだと思った。
ゆっくり階段をおりた後も手は繋ながれたまま……ゆっくり歩く先生に、私はドキドキして全身から熱がでている感じがした。
先生は私のちょっと前を歩く、この距離がほどよい。
2人の足跡が砂浜に残っていく、ザクザクと鳴る音が、今は幸せの音にしか聞こえなくて、これからもずっと二人で足跡を残していきたいと思う。
月が優しく二人を照らしていた。
しばらく歩いて先生は足を止めると。
「座るか」
といって、砂浜に腰をおろした。そして、
「ほらっ」
と私の手をひき、それで私も先生の隣に座る。いつまで、手繋いでるんだろうと考えると、嬉しいけど少し恥ずかしい。
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