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って、ちょっと気が付いた事がある。 先生は私にシンと呼んでって言ったのに、私の事は亜紀って呼んでくれていない。
なんか不公平な気がする。
私は先生の事を、ジッとみた。そして、ちょっとモジモジしながら、先生に聞いてみた。
「私の事は? 亜紀って呼んでくれないんですか?」
と、すると先生は笑顔で。
「亜紀」
と囁いた。こんなにも名前を呼ばれるだけでドキドキするなんて、恥ずかしくもあり、先生から目をそらし外をみた。
亜紀って亜紀って呼ばれたよ。
胸がくすぐったい。
先生は、恥ずかしくて外を見る私を見て、また笑っていた。
あらためて指に光る指輪をみる。見てるだけでにやけてしまう私は本当に、幸せ過ぎるんだろう。
「ずっと、つけとくんだぞ」
私はコクリとうなずく。外したくないよ。
でも学校とかでもつけてたら、誰かに彼氏から? とか質問されるんじゃないか、そうなった時の対処方なんて全くわからない。
「もし、誰かに彼氏からもらったの? ってきかれたら、どうすればいい?」
一生懸命敬語を使わないようにきいた。先生は、
「彼氏から貰ったって、言えばいいよ」
と淡々と答える。けど、
「じゃあ、彼氏は誰ってきかれたら?」
「適当に、他の学校の人とでも言えば大丈夫」
ねぇ、先生って案外適当なんだね。
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