*◆*悠木*◆* #3

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右手で顔を触ろうと、手をあげた…右手もいたかった…。 ところどころ…手にはガーゼがはってあった。 顔の左を触ると、顔にもガーゼ…。私はどれだけ…殴られたんだよ。 と…私は舌で歯をなぞった。 右奥歯から左奥歯まで上も下もくまなく。 そして、安心する。 歯…全部ある。 と…。 だって、よくテレビやマンガなんかで、歯が折れたり、取れたりするのを見た事があるから…不安だった。 全部あった。 でも、左頬の内側は切れてるみたいで…痛みと鉄の味がした。 「ちょっと、ベッドあげてくれる?」 と、私は頼んでいた。 体は痛かったけど…みんな…心配して私の顔をのぞき込んでくるから…。 それが嫌だった。 「担当医呼んでくるな!!」 と、ベッドを少し起こしてくれた父さんは病室から出ていった。 「亜紀痛かったでしょ?」 と言ってくる母さん…。 「母さんは、大丈夫?」 そう聞くと、 「母さんの事はいいの!!」 と怒られた。 すると、病室の外で騒がしい声がした。 「目を覚ましたんですよね!話を聞かせてください。」 と…。 その後に…。 「今は、待ってください!!!起きたばかりです!もう少し落ち着いてからにしてください。」 と…。 先生の声だった。
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