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*◇*過去*◇* #2
(なんで…?)
「小さい時の話しなんですけど、両親は事故で亡くなったんです。その日はシンが動物園に行きたいと駄々をこねて、行く事になったんです。」
〃ザザザザ~ ザザザザ~〃
波の音が響く…。
すると、いきなり相沢先生の手が、私の砂を握り締めている手の上に重なった。
手は、相沢先生に隠れて優先生からは見えない位置にあった。
「その途中で…事故にあったんです。両親は即死で、奇跡的に俺とシンは助かりました。それからです。シンは自分が動物園に行こうって言わなかったら、両親は死んでなかった…と自分を責めるようになりました。」
私の砂を掴む手に力が入った。
(先生…苦しんでるんだ…。)
「そして、施設で暮らすようになり、シンは自分の里親が見つかっても、俺に里親が付かないからと、里親のとこから、逃げて帰ってきていたんです。」
…。
「そして、俺に何度も謝っていました。“お父さんとお母さんを奪ってごめんね”って。」
私の目からは、いつの間にか涙が溢れていた。
そんな私の手を…相沢先生は強く握った。
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