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「分かんないよ……先生の考えてる事、分かんないよぉ」
私は手をギュッと握っていた、さっき切った指がズキンズキンといたんだけど、胸の痛みに比べると、ちっぽけだった。
「亜紀。俺達が一緒になる事だけが幸せじゃない。
亜紀は普通の恋愛をして、幸せになって欲しい」
先生との恋は、他の人から見れば普通じゃないかもしれない。
でも、私は普通だと思ってる。そう思いたい。
「俺も普通に恋がしたいんだ……」
ねぇ先生……。
先生も嘘吐くの下手だよね。そんな顔してたら、嘘だって分かるよ。
(嘘だよね?)
「なぁ亜紀……ごめんな。俺はお前の事を幸せには出来ないんだよ」
もう、泣く事しか出来なかった。
だって……。
先生の砂の上に置かれていた手が、強く握られている事に、私は気付いているから。
(私に嘘ついて、私を自分から遠ざけようとしてるんだよね?)
「だから……もう連絡を取るのはやめよう。2人で会うのもやめよう。
別々の道をあるこう」
(本心じゃないよね……?)
ねぇ……貴方の気持ちが、私には良く分からないよ。
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