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そして車に乗り込み、学校に向かっていた。
すると、相沢先生の携帯に着信が入った。
相沢先生は車を路肩に停めて通話を始めた。
「もしもし?」
私はだまって、電話が終わるのを待っていた。
「まぁな、安心したか?」
といったあと、相沢先生はいきなり携帯をスピーカー通話にした。
“あぁ……亜紀が見つかって良かった。
俺のせいで落ち込んでると思うから、慰めてやってくれよな!”
と言う声は……先生の声。
「馬鹿じゃねぇの」
という相沢先生に、
“馬鹿じゃねぇよ。
お前なら亜紀を幸せに出来ると思っているから。
亜紀が幸せになれるなら、俺はお前でも構わない。
前は嫌だったけどな……”
と話す先生の声を聞いて、私は先生としか幸せになれないのに、と胸が苦しくなった。
「お前! まだすきなくせに」
相沢先生は、なんでこんな会話を聞かせたいのか。
“好きだな。でも、亜紀の幸せは俺の幸せだから”
ねぇ……こんなにも胸が苦しくて、目頭が熱くなってくるのは、貴方の気持ちが嬉しいからだよ。
「はぁ、お前は馬鹿だよな」
相沢先生があきれたように言うと。
“今さら、迎えになんていけないだろ!
俺、嫌いだって言ったし”
ねぇ先生。
私は嘘だったって分かっているよ。
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