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分かっていた。
間違ってるって、私達は今一緒にいてはいけない事くらい。
(分かってるよ……)
先生が私と少し外出したいと言った事……私は凄くうれしかった。
だってほんの1時間前なんて……会話すらなかったんだよ。
「亜紀……俺はやっぱりお前と一緒になりたい」
いきなり先生がそう言った。
その言葉に、私は驚いて先生を見たけど、先生の顔はすぐにぼやけて見えなくなった。
『一緒になりたい』
だって、私も同じ気持ちだから……。
「亜紀は、どう思う?」
そう静かに聞いてくる先生に、私は何も話せなくて、首を縦に振った。
「ごめんな……前は嫌いだなんて言って」
先生ぇ嫌いだって言ったのは、
(私嘘だって分かっていたから平気だよ)
「俺、亜紀の父さんに怒られちゃったな」
と言うと、先生は少し笑った。
「でも、認めてもらうように頑張るから、亜紀は俺を待っててくれよ」
そう言った。
私は、嬉しくて嬉しくて、いつの間にか先生に抱き付いていた。
頬には沢山の涙が流れて、先生の洋服に涙の染みをつけた。
すると、先生は私をギュッと抱き締めて、耳元で。
「亜紀……好きだから。俺を好きでいて」
そう呟いた。
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