*◆*想い*◆* #3

3/8
前へ
/35ページ
次へ
10分なんてあっというまに過ぎていく……。 先生に耳元で囁かれた言葉は、私の涙腺を緩めて涙は止まらなかった。 「もう泣きやめ」 とギュッと強く抱き締めてくれた先生に、 「だっ……てぇ」 と私は、なき続けていた。 すると、先生は私をはなして、 「ほら、涙を拭いて。もう部屋に戻って、俺にはまだやる事があるから、なっ」 そう言うと、私から視線をそらし、後ろを振り返った。 先生で見えなかったけど、そこには母さんが立っていた。 先生は、母さんが戻ってきていた事に気付いていたみたいで……。 立ち上がると、 「すみません、もう一度、今度は亜紀さん抜きで話させてもらえませんか」 と母さんに言っていた。 (先生……) 母さんはそんな先生を見て、少し微笑むと“ちょっと待ってなさい”といい、また部屋に戻った。 先生は、また父さんと話す気なんだ。 母さんが部屋に戻ったのを確認すると、先生は 「亜紀は部屋に戻って。あとで電話するから」 そう言い、私を立たせ頭を軽く撫でた。そして、 「髪型……とても可愛い、似合ってる」 と笑った。 そっか……髪を切った私を見るのは、初めてなんだよね。 「じゃあ、またな」 そう言うと先生は、私の背中を押した。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加