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「そんなにシンに似てる?」
と聞いて来る優先生に、私はコクリと頷いた。
「そうだよね」
静かな時間、星空を見ながら私は、先生の事で頭がいっぱいだった。
先生に会いたい……。
それだけで、頭がいっぱいだった。
(似てるけど……先生じゃないもんね……)
そう思い、また優先生の事を見た。
優先生は目を閉じて黙っていた。
(また、寝てるのかな……)
優先生の横顔……キレイな形の鼻……サラサラな髪、唇……まつげ。
私はいつの間にか、手を伸ばしていた。
無意識のうちに、優先生の頬に触れていた。
先生に似てるから悪いんだ……。
先生に似てるから。
「何? 木下さん」
と、そんな私の行動に優しく聞いてくる声で、私は現実に戻される。
「あっごめんなさい」
少しだけでも、先生といるんだって擬似体験したかったのかもしれない。
先生と一緒にいるんだって、思っていたかったのかも……。
「なんだか、先生に似てるから、ちょっと優先生を先生だと思い込みたかったのかも……」
と私がポツリと言うと、
「そうかぁ……」
といい、私の頭を優しく撫でる優先生。
(行動も先生に似てる……)
なんだか、本当に錯覚しちゃうよ。
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