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「着いたぞぉ~」
と車を停めた相沢先生は、すぐに車から降りた。
それに続いて私も車を降りる。
その瞬間に潮の香りが私を包んだ。
(海のにおいだ……)
深呼吸をしていると、
「よしっ砂浜おりるぜぇ~」
と相沢先生は、歩きだした。
私はそれに付いていく。
相沢先生とこの海に来るのは、優先生と3人で来た時以来だよね……。
あの時は、先生の知らない過去を知って、涙が止まらなかった。
あの時、相沢先生はそんな私を慰めるように、優しく手を握ってくれていた。
あっ違う……私が先生にフラれた時も相沢先生とこの海にいたや……迎えにきてくれたんだよね。
記憶が頭の中を支配して、前をいく相沢先生の背中に、
(ありがとう)
と、心の中でお礼を言った。
「階段だぞ! 手つなぐか?」
と言ってくる相沢先生に、
「大丈夫ですよ」
と言っても、
「だめだめぇ~、暗いから大事なお姫様を守らなきゃ、細川に怒られちゃうから手!」
と、私の手をいきなり掴むとゆっくりと階段を降り始めた。
(先生に怒られるか……)
また複雑な気持ちになった……相沢先生は、私といて……。
(私といて、苦しくないのかな……)
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