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「早くどこかに行ってよ……」
と言われても、私は動く事が出来ない。
(どうしよう……)
ぐすっと鼻すすりながらイスに腰掛けた紗香さんは、
「なに? そんなに私を見てて楽しい?」
と私をみてきた。
「そんな事思ってないです」
と私は首を横に振った。
「それじゃなに? 同情で追いかけてきたわけ?」
と聞いてくる、私は、
「分かんないです……」
と言った。
何故、自分が紗香さんを追いかけてきたのか、良くわからなかった。
「分かんないって何よ……」
と言う紗香さん。
同情してないと言ったらうそになる……気持ちを考えると胸が苦しくて。
「あっ分かった。自分のせいだって追いかけて来たんでしょ?」
と笑う紗香さんに、私は何も答えられなかった。
紗香さんに言われた言葉『貴方がいなかったら』それは、確かに私に少し責任をおわせていた。
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