*◆*抱擁*◆*

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そして、時間は過ぎていき……。 ――放課後。 「またね」 「またな」 「また明日」 と仲良しメンバーが帰っていくなか、私は残っていた。 少しの時間だけでも、先生と話したかったから。 1人になった教室……先生がくるかもわからないのに、私は教室にいた。 (先生……通らないかな……) なんて、淡い期待を抱いて。 刻々と過ぎる時間、私は屋上なら先生がくるかもと思い、なんの根拠もなしに屋上にむかった。 (会えたらいいな……) と思いながら、1棟から2棟に移動し階段を上がり3階まできた時。 「亜紀……」 といきなり、私の名前がささやかれた。 本当にちいさな声で……。 辺りを見渡しても誰もいない、 (ん?) と屋上への階段を上がろうと、足を動かしたとき。 「亜紀」 とまた呼ばれた。 また辺りを見渡すと、化学室の扉が少し開いていて、そこから先生が手招きしているのが見えた。 (先生!!) 私は、辺りをみわたし……誰もいないか確認してから、化学室に静かに入った。
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