*◆*抱擁*◆*

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化学室はカーテンが全部閉められていた。 沢山並んだイスに、綺麗に並べられた実験器具。 そして、私の目の前には……先生がいた。 「やっとだな……」 と、カーテンをめくりちょっと外を確認した先生は、部屋を移動しよう。と、化学室の中にある化学の先生専用の部屋へと向かった。 本当は準備室で、勝手に化学の先生がそこにテーブルやらイスを置いている部屋なんだけど。 化学室の電気は全部けし……光りのある準備室へ。 準備室は化学室と中で繋がっていて、廊下側からも入れるようになっていた。 私はこの時、先生にあえて嬉しくて……本当はすぐに先生に抱き付きたかった。 「ちょうど、化学室閉めてたんだ……」 と話す先生。 部屋を移動して私は先生に座るように言われ、机のそばにあったイスに座った。 準備室は、化学の先生が寛げるような空間になっていて、コップやらお箸やらが置かれていた。 「亜紀……」 そう言うと先生は、私のすぐ側にきて。 「父さんの約束破っちまったな」 といった。 先生の顔を見ると、私を見ていて。 「寂しかったか?」 と聞いてきた。 その時、私は今までの寂しさが溢れて……涙が流れたんだ。
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