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化学室はカーテンが全部閉められていた。
沢山並んだイスに、綺麗に並べられた実験器具。
そして、私の目の前には……先生がいた。
「やっとだな……」
と、カーテンをめくりちょっと外を確認した先生は、部屋を移動しよう。と、化学室の中にある化学の先生専用の部屋へと向かった。
本当は準備室で、勝手に化学の先生がそこにテーブルやらイスを置いている部屋なんだけど。
化学室の電気は全部けし……光りのある準備室へ。
準備室は化学室と中で繋がっていて、廊下側からも入れるようになっていた。
私はこの時、先生にあえて嬉しくて……本当はすぐに先生に抱き付きたかった。
「ちょうど、化学室閉めてたんだ……」
と話す先生。
部屋を移動して私は先生に座るように言われ、机のそばにあったイスに座った。
準備室は、化学の先生が寛げるような空間になっていて、コップやらお箸やらが置かれていた。
「亜紀……」
そう言うと先生は、私のすぐ側にきて。
「父さんの約束破っちまったな」
といった。
先生の顔を見ると、私を見ていて。
「寂しかったか?」
と聞いてきた。
その時、私は今までの寂しさが溢れて……涙が流れたんだ。
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