*◆*抱擁*◆*

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「もう泣くな……」 と暗闇の中、心配そうに私をみてくる先生は私の頬を流れる涙を指で拭った。 「あいたかったぁ」 と、私がいうと先生は私を優しく抱き締めてくれた……。 暖かい温もりに……先生の匂い……ギュッと力を込めて私も先生の背中に手を回して抱き付くと。 先生はそのまま私を机からおろした。 「亜紀……座るか」 と、言う先生は。 「ちょっと腰にきた」 と苦笑いした。 私達は、また床に座った。 準備室には戻らずに……。 「俺ももう歳だな、中腰はやっぱりきつい」 なんて笑って言う先生に、 「ふふっ」 とおかしくて私も思わず笑ってしまった。 「笑うなよ」 と言う先生に、 「だってぇ」 といい、私達はわらいあった。 それから、学校の話しをしたり、バイトの話しをしたりした。 そして、 「そう言えば、バイト大丈夫か?」 と先生に言われて、私はバイトなのを思い出した。 もう、学校から出ないと間に合わない時間。 「んん~やだぁ~」 と、私はバイトに行きたくなくて。 琢磨にすぐ電話して、バイトをかわってもらった。 そんな私を見て、先生は。 「そんなに、一緒にいたいのか?」 と微笑むから、 「だって、まだ10分も経ってないもん……」 と私はうつむいた。
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