21人が本棚に入れています
本棚に追加
(どうしよ……)
沈黙が持続する程、空気がどんよりと重くなっていくのを感じた。
それに比例するように、胸も苦しくなり、ますます話し出す機会が掴めない。
長い沈黙を破ったのは、やっぱり先生だった。
「なんで電話もメールも返さない?」
「えっと……」
なんと答えたらいいのだろう『忘れていた』そう言ったらきっと先生に嫌われる。
そう思うと、言葉が出てこない。
「なんでだ」
答えを要求する声は、いつもより低い。
このまま黙っているわけにもいかず、私は本当の事を言う覚悟を決めた。
(私は、先生に嫌われても仕方ない事をしたんだ……)
「ごめんなさい……忘れていました」
返ってくる言葉が怖くて、私はいつの間にか目をつむっていた。
「わすれてたか……」
先生のなんだか力の抜けたような声に、完全に嫌われたんだと、絶望感が私を襲う。
(ごめんなさいごめんなさいごめんなさい)
何度だって謝るから、私を嫌わないで……。
最初のコメントを投稿しよう!