21人が本棚に入れています
本棚に追加
静かな車内……次に何をいわれるのか、亜紀は待った。
もうきっと口も聞きたくないのかもしれない。
目頭が熱くなっていくのが、わかる。その時だ、
「それで、何があったんだ?」
そう聞いてきた。私が予想していた言葉とは違っていたため、瞬間に先生を見た。
「俺の事を忘れる程、頭がいっぱいだったんだろ?」
それに頷いた。そして、安心感が胸を包んだ。
先生はまだ、私の事を嫌っていないと。
その後、先生は路肩に車を停めた。
何処だろうか、車は全然通っていなく、街灯もない道だった。
「前くるか? それとも俺が後ろにいくか?」
そう運転席から視線を向ける先生。自分が助手席に移動しようと外をみたけど、暗くて外に出るのが怖かった。
そんな私の気持ちを察したのか、
「いい、俺が移動する」
そう言うと、いったん車を降りて、私の隣りに乗り込んできた。
ドアを閉める音が、なんだか大きく聞こえた。
すぐに先生は私の方を向くと、
「なにがあった?」
と聞いてくる。
言っていいものなのか迷い、私は今日の出来事を話した。
先生に言う事で、自分の気持ちを楽にしたかったのかもしれない。
ゆっくりゆっくり、先生にちゃんと分かるように話した、途中こぼれてくる涙を拭いながら。
最初のコメントを投稿しよう!