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「ごめんなさい……それで、頭がいっぱいで、トイレの前でも手を払ったりしちゃって。ごめんなさい」
「そうか……」
先生の右手が私の頭を優しくなでる。
「謝らなくていいよ。理由があったならそれを言ってくれればいい」
涙が止めどなく流れて、嗚咽がもれた。子供みたいに泣きじゃくる自分が、なんだか嫌になる……まだまだ子供なんだ。
そっと私を撫でていた手は、頭を引き寄せた。先生の胸の中に収まると、ますます子供みたいに私は泣きじゃくった。
――――
――
「落ち着いたか?」
どれくらい泣いていたんだろうか、体が疲労感でいっぱいだった。
コクリと頷く事しか、私には出来なくて、先生に身を預けていた。
「もう少しこのままでいるか……」
それに甘えて、私はそのまま目を閉じた。先生の手が私の手を握ってきたのがわかる。
温かくて大きい手……それは私の心を包んでくれているみたいだった。
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