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そして、角を曲がると。
「あれ」
琢磨の指差す方には、白い2階建ての建物。柵に囲まれたその場所は、小さな学校というか、保育園の様な造りだ。
施設の庭にはブランコや鉄棒が置いてあり、小学生くらいの子たちが、6人程遊んでいる。
「ここ……?」
「うん」
入口にかけられている看板に目を向けると、『子供の国』と書いてあった。
(ここ……)
私は、なんだか胸の鼓動が大きく早くなって行くのを感じた。
「行くか」
「うん」
敷地内に入ると、心臓はますます早くなった。
その動悸は、先生が育った場所に入る喜びや、嬉しさからじゃなく、不安からだった。
「あったっくん」
建物の入口近くで、髪を1つに束ねた女の人が、こっちに向かって、花に水をあげながら手を振っている。エプロンをつけているから、きっと職員だろう。
そこに向かう通路……一歩踏み出す事に、不安が確信へと変わっていった。
(私……ここ知ってる……)
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