*◆*過去*◆*

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建物の中は、ちょっと古ぼけていて、入口のすぐ正面には2階へと続く階段があった。 田村さんは、私を他の職員に紹介するからといい、職員が集まる部屋へと案内してくれた。 「ここよ」 そう言い、田村さんが扉を開けると、そこはタタミ8畳くらいの広さの場所で、机が中央に5台あった。 そこにいた4名の40代~50代前半くらいの男性3名・女性1名は、すぐに扉に注目した。 「皆に紹介したい人がいるのよ」 田村さんがいうも、琢磨に気付いた人たちは。 「おったっくん」 「男らしくなったな」 と琢磨の元に寄ってきた。 しばらくは、職員と琢磨の久し振りの再開で話しに花が咲いていて。 (なんか、気まずいな……) と思っていると。 「おったっくんも、彼女が出来たのかぁ~。紹介しに来たのか?」 男性が琢磨の肩を叩きながら、ガハッと豪快に笑った。 それを見て、田村さんは待っていましたと言わんばかりに。 「それがね、たっくんの彼女じゃないらしいのよ。 実は……」 田村さんはみんなに、自分の近くにくるようにと手招きをすると、少し小声で。 「シンの彼女なんだって」 その途端、部屋中に驚きの声が響いた。
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