*◆*過去*◆*

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「本当に!?」 「うそでしょ?」 と、私の顔をマジマジと見てくる。 恥ずかしい、多分顔が紅くなっているだろう。 「一体何歳よぉ~」 しばらく私は、質問攻めにあった。 その後、その部屋でお茶をすすめられ、琢磨の昔の話しや先生の事を色々聞けたんだ。 先生は責任感が強くて、よく年下の子の面倒を見てたのだとか。 そして田村さんは、先生の初恋は自分だと言っていたんだ。 「あの子の初恋は絶対に私よ!」 と自信満々に言う田村さんに。琢磨は絶対に違うと否定していた。 なんだか、皆温かい人たちで、先生がこの人たちにお世話になったんだと思うと、本当にありがたい気持ちになった。 この人たちのおかげで、今の先生があって、それで私は先生に惹かれて。 先生に惹かれたのは、田村さんたちのおかげでもあるんだ……。 ありがとうって言いたかった。 なんだか親みたいな考え方だなって、思ったけど……。 ありがとうって言いたくてたまらなかった。 琢磨の笑顔に皆の笑顔。 とても、温かい場所……前、写真の中で見た事のある先生が、この場所で笑っている場面が想像できる。 不思議だな……この施設で先生が育ってきたと思うと、何もかもが愛しく思える。
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