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そろそろ教室に着く。
「はぁぁ」
思わずため息をつくと、
「ため息つきたくなるのもわかるよ」
とみきはいい、
「って、今心先生が物凄く亜紀の事を見ながら通り過ぎていったけど」
「えっ!?」
と後ろを振り返ると、先生はもう50メートル程離れていた。
「気が付かなかった」
私は何処を見て歩いていたのか、思い出せない。
先生の背中が愛しく感じたと同時に、私は周りをキョロキョロと見回した。
私はこの時、あずさに見られていなかったか、何故か凄く気になった。
姿が見当たらなくてホッとする自分がいて、あずさとの事をまた考えた。
教室につくと、仲良しメンバーの中にはあずさの姿がなくて、みんな弁当を食べていた。
「おぉ帰ってきた。大丈夫か?」
と私の顔を覗いてくる祐介に、良くなったと伝え、私は自分の席に着き鞄から弁当を出した。
あずさがいない事に誰も何も言わない所を見ると、きっとみんな事情を知っているんだろう。
今日は会話は少なく、みんな黙々と弁当を食べていた。
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