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なんだかこの日の弁当は味気なく感じた。
「ごちそうさま……」
弁当箱をカバンにしまっている時、あずさが何処からか帰ってきた。
だけど、誰も何も言わない。
あずさはそのまま席につくと授業の準備をはじめた。
(話さなきゃ……ちゃんと話さなきゃ)
私はまだあずさとは完ぺきに切れたとは、思いたくなくて、話しかけようと立ち上がった時。
隣りのるいに手を掴まれた、見ると首を横に振った。
私はそれから何もできなくなり、また座るしかなかった。
(なんで……?)
もうあずさとは、話す事も出来ないんだろうか。
話したいのに話せない自分が歯痒くて下唇を噛んだ。
そんな時だ、あずさにクラスメイトの篠原くんが話しかけてきた。
「あっあずさ、相沢先生がいいってよ。早速だけど交換しようぜ」
と言っている。篠原くんとあずさは少し話すと、机を持ち上げた。
(えっ……)
あずさは机を一番前の席に移動して、そして篠原くんはあずさの席だった所に移動してきて。
「あっこれから仲良くしてね」
と、周りの人に挨拶をした。
「どうして席変わったの?」
私が一番聞きたかった質問を、るいが聞いてくれて、
「あぁなんか、黒板の字が見えないらしいよ」
「そう」
あずさはもう……本当に離れて行く気なんだと……嫌でも感じて。
とても胸がくるしくなって、泣きたくて、私は教室を出てトイレに向かった。
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