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もう……戻れない。
あずさにその気はない。
トイレまでそんな事を考えていた、頭の中ではあずさの行動が鮮明に思いだされて。
今まで過ごしたあずさとの楽しい時間が思い出された。
もうすぐトイレに着く、周りなんて見れなくて私は下を向き目的地を目指していた。
その時だ、
「木下!?」
私はすれ違う人に手首を掴まれた。
その声は紛れもなく先生で……顔をあげると先生が私を心配そうに見ている。
ここは学校……。
亜紀は手を振りはらい、そのままトイレへ駆け込んだ。
シンは、振りはらわれた手を少し見つめると、何もなかったかのように歩きだした。
周りの生徒は、幸いにもこんな2人の行動に、誰1人気付いていなかった。
――亜紀は、すぐに個室に閉じこもった。
その瞬間、涙はどっとあふれでた。
どうしてこうなっちゃったのか……1人の友達を失った喪失感が胸を押し潰す。
でも、どうしても戻れるような気がしてならない私は、あずさにメールを送っていた。
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件名:
本文:本当にもう無理なのかな?
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と、返事はすぐにかえってきた。
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件名:RE:
本文:うん、ごめんね。
今までありがとう。
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と……。
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