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あの後、家具やら荷物が届いて、シンの部屋は生活が出来るようになった。
「あぁ疲れたぁ~しんどい」
ソファにドスッと座った相沢の隣りに、優も腰を降ろした。
「まじありえん」
額の汗を拭い、腰を叩いている相沢を見て。
「お前の引っ越しの時よりはマシだろ」
シンが荷物を片付けながら言った。
沖縄の生徒とこっちに視察にきていた時、相沢先生の引っ越しを手伝ったらしく、腰が痛くて仕方なかったと話していた。
あの化学室で、『腰にきた』とか『中腰はきつい』といっていたのは、相沢の引っ越しを手伝った次の日だった事を亜紀は知った。
シンは歳だなんて言っていたけど、引っ越しの次の日は仕方ない。
まぁ、あまりカッコいい話しではないから、とやかく説明しなかったらしい。
亜紀は、シンが箪笥に洋服を入れていくのを手伝いながら、どのタイミングで『シン』と呼ぼうかと考えていた。
ずっと、『先生』とも『シン』とも呼んでいない。
なんだか恥ずかしいから、『ねぇこれは?』とか『ねぇ、どこに置く?』と言って名前を呼べずにいた。
「亜紀それとって」
「うん」
まだ片付けは終わっていないものの、疲れて今日は終了、寝室に大きい段ボールが6つあったが、あとはシンがゆっくり1人で片付ける事になった。
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