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――シャワーが体に打ち付ける。亜紀はさっきシンの名前を一生懸命呼んでる夢を見ていた事を思い出していた。
実際にもしかしたら呼んだのかもしれない、夢なのか現実なのか、なんだかはっきりしなかった。
が……シンが『何も言ってない』と言っていたから、安堵していた、初めて自発的にシンと呼んだのを、はっきり覚えてないなんて笑えない。
でも、まるで現実みたいだったな……。
なんて思いながら、亜紀は泡をいっぱいたて、体を洗っていた。
そして、もし今日流れでそういう風になったら、どうしようと考えていた。
『まだ心の準備が出来ていない』と言おうか、正直に話そうか……でも、やっぱりシンに言うのが怖かった。
嫌われたら……どうしよう。
そう思わずにはいられない。
そして、お風呂から上がるとシンの姿を探した。リビングにも寝室にもいない……。
「何処いっちゃんだろ?」
そう呟き、ソファに座ると、いきなりベランダ側の窓が開いてビックリした。
「きゃっ」
「あっごめん。ビックリした?」
シンはベランダでタバコを吸っていたのだ……。
「ちょっと、ビックリした」
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