*…小さな嘘…*

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 入学式があった日から、もう1週間は経っていた。  亜紀も学校に通い始めたばかりで、毎日忙しそうにしていて、シンも仕事で忙しく、もう1週間とちょっと会っていなかった。  会おうと思えば会えたが、亜紀の休みの日はシンが仕事だったり、シンに時間が出来れば、亜紀が学校に呼び出されたり、会えない日が続いた。  でもメールと電話は毎日のようにしている。 「うぅ……会いたいよぉ~」  そうベッドで寝そべりながら、シンに会いたくてたまらなくて、1人うなっていた。  何度か夜、シンが迎えにくると言っていたが、疲れているだろうと、気をつかって断り続けていた。 「迎えに来てって素直に言えば良かった」  いつも電話のあと、そう思ってしまう。結局言えないのだ。  あずさが何かちょっかいを出していないかと、心配して何もないようにと毎日祈っていた。 「信じてるもん」  そう自分に言い聞かせ。 ――そして、調度会わなくなって2週間経った頃。亜紀に限界がきた。  寂しくて会いたくてたまらなくて、バスで行くことにしたのだ。  この日は日曜で学校は休みだった、シンは少し仕事があるらしく午前中は家にいないのだとか……。  ビックリさせちゃお!  そう亜紀はシンに言わずに、家へと向かっていた。
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